歯ぐきや粘膜の上皮は、重曹扁平上皮からできていて表層が角化し、簡単にはものを通過させないようにするとともに、常に剥がれ落ち、細菌や毒素の侵入を阻止しています。
しかし、粘膜と歯の表面との境界部では、上皮細胞をエナメル質に付着させなくてはいけないため、角化することができず通常のバリアをつくることができません。
そのため粘膜の上皮の最前線では、付着上皮の細胞たちがしっかりとスクラムを組んでエナメル質と接着し、その表面を歯肉溝底へと移動しながら上皮のシールを保つとともに、さらに抗菌作用を持ち、付着上皮の隙間を歯肉溝へと流れる歯肉溝滲出液と、旺盛な貪食能を持った多数の好中球が、細胞間隙を遊走することによって、外敵や炎症を引き起こす者たちの歯周組織への侵入を防いでいるのです。
このようなバリア機構に守られている歯肉ですが、時にはそこの穴が開き、戦いが起きることもあります。様々な攻防が私たちの意識しないところで繰り広げられ、たくさんの細胞たちが戦い、炎症という形で一生懸命に体を防衛し、そして死んだ細胞や傷ついた組織は除去され、炎症によって壊れた組織はやがて修復・治癒へと向かいます。その経過が歯ぐきの赤み、腫れなどの変化として表れてきているのだそうです。

橋本貞光先生より

タフトクラブより


